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糖尿病

糖尿病とはどんな病気?

糖尿病とは、血糖を下げるホルモンである「インスリン」が不足することで、血液中のブドウ糖が増えてしまう病気です。
糖尿病には1型と2型糖尿病があります。両者は血糖値が高くなる(慢性高血糖)という点で共通していますが、原因・発症の仕組み・症状の出方・治療の基本方針が大きく異なります。糖尿病全体の約90〜95%が2型で、1型は少数派(約5%前後)です。日本では1型の発症率が欧米より低い傾向があります。


 

1型:免疫の異常で自分のβ細胞を攻撃・破壊してしまいます。結果、インスリンがほとんど作れなくなる「絶対的インスリン欠乏状態」となります。劇症型・急性発症型・緩徐進行型(SPIDDM)に分類されます。生活習慣病ではなく、自己免疫疾患に近い性質です。

2型:β細胞の機能低下とインスリン抵抗性が主な要因です。遺伝的体質に、食べ過ぎ・運動不足・肥満が加わり発症します。日本人は欧米人に比べてインスリン分泌能がもともと低めで、肥満度が低くても発症しやすい特徴があります。

高血糖が持続することで、さまざまな臓器障害を起こします。また免疫力の低下を来たし、細菌やウイルスに感染しやすくなります。初期には症状がほとんどありませんが、進行すると動脈硬化が進み、脳卒中や虚血性心疾患を来たしやすくなります。また糖尿病の3大合併症として、網膜症、腎症、神経障害があり、失明や透析につながる病気でもあります。糖尿病性腎症は、血液透析の原因の第1位であり、網膜症は、失明の原因の第2位を占めています。
一方で、糖尿病は早期治療ができれば、合併症を予防できます。

糖尿病の原因

2型糖尿病はインスリン作用不足(分泌低下+抵抗性)が主たる原因で、慢性的高血糖を引き起こします。遺伝的素因(体質)と環境要因が複合的に重なり発症へと至ります。

① 遺伝的素因

日本人などのアジア人種は欧米人に比べて、インスリンの分泌が約半分と言われており、糖尿病に罹患しやすいです。また親が糖尿病の場合、糖尿病ではない人に比べて糖尿病を発症する可能性が高くなります。

② 環境要因

環境的要因として以下の項目が挙げられます。

  • 過食 (高脂肪・高カロリー食)、運動不足により肥満 (特に内臓脂肪の増加)をきたすとインスリン抵抗性が増大します。
  • 加齢と共に膵臓β細胞機能が低下し、インスリン分泌量が減少します。さらに筋肉量が減り、脂肪の割合が増えるためインスリン抵抗性も増大します。
  • ストレス、睡眠不足、不規則な生活はインスリン抵抗性を増大させます。

これらが遺伝的素因と重なり、膵β細胞が疲弊して相対的インスリン不足を生じます。高血糖がさらにβ細胞を傷つける「グルコトキシシティ」の悪循環を起こします。
日本人の特徴として、BMIが同程度でも欧米人より糖尿病リスクが高いです。

糖尿病の症状

糖尿病は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし進行ともに様々な症状をきたすようになります。「何も症状がないから大丈夫」と油断していると、気づいた時には取り返しのつかない合併症が進んでいることも少なくありません。
典型的な初期症状として以下のものが挙げられます。

頻尿・多尿

尿の回数や量が増えます。特に夜間に何度もトイレに起きる場合は要注意です。血糖が高いと余分なブドウ糖を排泄するため腎臓が働き、尿量が増加します。

口渇(異常な喉の渇き)

執拗に喉が渇き、水分を多く摂るようになります。尿が増えることで体が脱水気味となり、強い口渇を感じます。

疲労感・倦怠感

休息を十分にとっているにも関わらず疲れやすく、体がだるい感じが続きます。エネルギー源であるブドウ糖が細胞に行き渡らず、エネルギー不足に陥るためです。

体重減少

食欲は旺盛なのに体重が減少することがあります。インスリン作用の不足で糖をエネルギー利用できないため、体が脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補い、体重減少が進行します。

多食・空腹感

食べてもすぐお腹が空く過食が見られることがあります。エネルギー不足を補おうと体がさらに食物を欲するためです。

視力低下・目のかすみ

血糖が高い状態が続くと、水晶体がむくむ影響などで視界がかすむ、ピントが合いにくい症状が出ることがあります。糖尿病網膜症が進行した場合、視力低下の原因となります。

手足のしびれ・こむら返り

高血糖の影響で末梢神経が障害され始めると、手足の先のしびれや痛み、足がつる (こむら返り)といった症状が現れることがあります。これは糖尿病性神経障害の初期兆候です。

傷が治りにくい

ケガや傷口の治癒が遅れたり、化膿しやすくなったりもします。高血糖状態では白血球の働きが低下し、感染症にかかりやすくなるためです。

糖尿病のリスクと合併症

適切な治療を受けず高血糖の状態を放置すると、体の様々な臓器に深刻なダメージが蓄積します。糖尿病が「沈黙の病気」と呼ばれるのは、症状が乏しいまま進行し、ある日突然合併症が判明してから気づくケースがあるためです。主な合併症とリスクは以下の通りです。

① 細小血管障害 (三大合併症)

慢性的な高血糖は細い血管を傷つけ、網膜症・腎症・神経障害の三大合併症を引き起こします。糖尿病網膜症では目の網膜の毛細血管が障害され、進行すると失明に至る恐れがあります。糖尿病腎症では腎臓の糸球体が障害され腎不全となり、人工透析が必要になることがあります。糖尿病神経障害では手足の感覚麻痺や痛み、自律神経の乱れが生じ、足の傷に気づかず重症化するなどの問題が起こります。その結果、重症の感染症や壊疽により足の切断に至るケースもあります。

② 大血管障害 (動脈硬化性合併症)

糖尿病は動脈硬化を著しく進行させ、心筋梗塞や脳梗塞など心血管疾患のリスクが極めて高まります。さらには糖尿病と診断される前段階の境界型 (予備群)の段階でも、既に心筋梗塞・脳卒中を発症しやすいことが報告されています。高血糖による血管内皮へのダメージや脂質異常症・高血圧を併発しやすいことが原因で「糖尿病は血管の病気」とも言われます。命に関わる重大な病につながるため、糖尿病患者は血糖だけでなく血圧やコレステロール管理も含めた包括的な管理が必要となります。

③ 急性合併症

血糖値の極端な上昇により、昏睡状態に陥る急性の合併症もあります。代表的なのが糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群です。インスリン不足が極端になると血中にケトン体が蓄積して酸血症を引き起こし、意識障害や昏睡に至ります。適切な治療をしなければ命に関わる緊急事態であり、1型糖尿病の初発時や重症2型糖尿病で見られることがあります。

急性合併症は突然発症しうるため、糖尿病と診断されたら高血糖症状 (著しい口渇・多尿、嘔吐や腹痛、意識混濁など)を見逃さず、早急に医療機関で対処することが大切です。
その他、歯周病、認知症、骨折、がんリスクの増加が挙げられます。早期の治療介入で多くは予防可能です。

糖尿病の診断

糖尿病の診断のフローチャートは以下の図の通りです。診断の際に用いる血糖値は静脈血漿での測定で行います。


 

糖尿病の診断に至るには、糖尿病ガイドラインに基づき、以下の3種類があります。

① 糖尿病型を2回確認 (1回は必ず血糖値で確認)

 

  • 別の日に行った検査で糖尿病型が2回以上認められれば、「糖尿病」と診断する。
  • ただし、HbA1cのみの反復検査による診断は不可。2回のうち1回は必ず、血糖値のいずれかで「糖尿病型」を確認する。
  • 血糖値とHbA1cが同一採血でそれぞれ「糖尿病型」を示すことが確認されれば、1回の検査だけでも「糖尿病」と診断する。

② 糖尿病型 (血糖値に限る)を1回確認+慢性高血糖症状の存在

血糖値が「糖尿病型」を示している場合、以下の条件のうち、一つを認める場合、1回の検査で「糖尿病」と診断されます。

  • 糖尿病の典型的症状 (口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
  • 確実な糖尿病網膜症の存在

③ 過去に「糖尿病」と診断された証拠がある

現時点の糖尿病型の基準以下であっても、過去に①もしくは②の条件が満たされた記録があり、「糖尿病」があったと判定される場合は「糖尿病」として対応する。

血糖値あるいはHbA1cの一方のみが「糖尿病型」で、「糖尿病」と診断されなかった場合
先ほどのフローチャートのように、血糖値あるいはHbA1cの一方のみが「糖尿病」で、糖尿病」と診断できなかった場合、「糖尿病疑い」となり、3〜6ヶ月以内に、血糖値及びHbA1cの再検査を行うことが必要です。

糖尿病の検査

① 血糖値

空腹時血糖値、75g OGTT 2時間値 (グルコース負荷試験)を用いて正常型、境界型、糖尿病型の判定を行います。


② HbA1c、グルコアルブミン

血液検査でよく測られるHbA1cは、赤血球中のヘモグロビンという成分にブドウ糖(血糖)が結合した割合を示す数値です。過去1~2か月の平均的な血糖状態を反映するため、糖尿病の診断の際の安定した指標として用いられます。

正常型 正常高値 境界型 糖尿病型
~5.5% ~5.9% ~6.4% 6.5%~


またHbA1cと同様に過去2週間程度の決闘の状態を表すグルコアルブミンを用いることがあります。

③ インスリン分泌能

インスリン値を用いたインスリン分泌の指標を評価します。インスリン分泌指数 (Insulinogenic Index)は、75g OGTT負荷にて測定し、糖尿病患者ではこの値が0.4以下となります。


 

また糖尿病治療中の患者では、インスリン値の代わりにCペプチド (CPR)を用います。Cペプチドは、インスリンと同時に膵臓から分泌される物質で、インスリンの分泌量や膵臓の機能を評価する上で重要な指標となります。空腹時の血中Cペプチド値:0.5 ng/ml以下 または24時間尿中Cペプチド排出量:20 μg/日以下は、インスリン依存状態を示します。

HOMA-βもインスリン分泌能を評価する指標として用いられます。計算式を以下の通りです。

HOMA-β = 空腹時インスリン値 (IRI) × 360 ÷ (空腹時血糖値 – 63)

  • 70%以上 比較的良好なインスリン分泌能
  • 40~70% 軽度の分泌能低下
  • 40%未満 分泌能の低下が疑われる
  • 30%未満 明らかな分泌能の低下

④ インスリン抵抗性

インスリン抵抗性とはインスリンが分泌されていても、その作用を十分に発揮できない状態を指します。つまり、筋肉や肝臓などの細胞がインスリンに対して鈍感になり、ブドウ糖がうまく細胞に取り込まれない状態です。
最も簡便な評価方法はインスリン値の測定です。早朝空腹時の血中インスリン値が15μU/mL以上を示す場合は、明らかなインスリン抵抗性の存在が考えられます。(正常値: 2~10 μU/mL)

HOMA-IRは客観的に抵抗性を評価する項目で健診等でも用いられます。

HOMA-IR = 空腹時血糖値 (mg/dL) × 空腹時インスリン値 (μU/mL) ÷ 405

HOMA-IRの目安
HOMA-IRの値 評価 状態
1.6以下 正常範囲 インスリンは適切に機能していると考えられます。
2.5以上 抵抗性あり インスリン抵抗性の疑いが強まります。
4.0以上 抵抗性が高い インスリン抵抗性がかなり進行している可能性があります。

HOMA-IRが2.5を超えてくると抵抗性の存在が疑われます。

⑤ 尿検査

血糖値が160~180mg/dLを超えると、尿中に糖が検出されます。腎臓の再吸収能力を超えている状態であるため、過去数時間の血糖値が高かった可能性があります。
また尿中に蛋白が確認されると、糖尿病性腎症を合併している可能性があります。腎臓に負担がかかっている状態や糖尿病が進行すると、腎臓の濾過機能が低下するため、血液中の蛋白が尿に排出されることが原因です。

⑥ その他の検査

合併症スクリーニング検査として、眼底検査、神経検査(DPNチェッカーなど)、動脈硬化検査(ABI/CAVI)、頸動脈エコーを行います。

糖尿病の管理目標

糖尿病治療の目標は、血糖・体重・血圧・脂質の良好なコントロールを長期的に維持することにより、細小血管障害(神経障害、目、腎臓)や大血管障害(動脈硬化)などの合併症の発症予防や進展を防ぎ、健康な人と変わらない日常生活の質を保ち健康寿命をのばすことです。そのためには血糖値を可能な限り正常域に近づけ、良好な状態を維持することが重要となります。血糖値を適正にコントロールするために指標として用いるのは、HbA1c(ヘモグロビンA1c)という検査値です。血糖値は1日のなかで食事や運動、ストレスなど、様々な影響を受けて常に変動しているので、採血時から過去1〜2カ月間の平均血糖値を反映するHbA1cが血糖コントロール指標として役立ちます。

日本糖尿病学会では、血糖正常化を目指す際の目標値を「HbA1c 6.0%未満」、合併症予防のための目標値を「HbA1c 7.0%未満」、低血糖そのほかの理由で治療の強化が難しい場合は「HbA1c 8.0%未満」と示しています。

 

65歳以上の高齢者の場合は、認知機能や日常生活における活動度(基本的ADL/手段的ADL)、併存疾患など著しく個人差があり、重症低血糖や動脈硬化性疾患、心不全の危険性が高くなるため、十分注意して目標値を決定します。


糖尿病の治療

2型糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法により適正に体重をコントロールし、インスリンの効きをよくすることです。食事療法と運動療法で不十分な場合、経口薬や注射薬による治療を行います。

(1) 生活習慣の改善

食事療法

食事療法の基本的な考え方は、カロリー (エネルギー)を必要以上にとらないようにすることです。過剰なカロリー摂取は体にとって害となります。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーで摂取することで、膵臓の負担が軽くなり、インスリン分泌能が回復します。
性別、年齢、肥満度、身体活動度、血糖値、合併症の有無などを考慮し、エネルギー摂取量を決定します。初期設定エネルギー量は、男性で1600〜2000kcal、女性で1400〜1800kcalの範囲で定めることが多いです。

総エネルギー摂取量 (kcal/日) = 目標体重 (kg) × エネルギー係数 (kcal/kg)

目標体重(kg)の目安

65歳未満:身長(m)×身長(m)×22
65歳~74歳:身長(m)×身長(m)×22~25
75歳以上:身長(m)×身長(m)×22~25

※75歳以上の後期高齢者では現体重に基づき、フレイル、(基本的)ADL低下、合併症、体組成、身長の短縮、摂取状況や代謝状態の評価を踏まえ、適宜判断する。

身体活動レベルと病態によるエネルギー係数 (kcal/kg)
  1. 軽い労作(大部分が座位の静的活動):25~30
  2. 普通の労作(座位中心だが通勤・家事、軽い運動を含む):30~35
  3. 重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある):35~

※高齢者のフレイル予防では、身体活動レベルより大きい係数を設定できる。また、肥満で減量をはかる場合には、身体活動レベルより小さい係数を設定できる。いずれにおいても目標体重と現体重との間に大きな乖離がある場合は、上記①~③を参考に柔軟に係数を設定する。

1食当たりの摂取エネルギー量は、1日の総摂取エネルギー量を3等分にしたエネルギー量が望ましいです。例えば、総エネルギー摂取量1日1800kcalの場合は、1食当たり600kcalが目安となります。

食品を購入する際は、パッケージに栄養表示が記載されているので、確認する習慣を作りましょう。栄養表示に記載されている栄養量が1食当たりなのか、100g当たりなのかは注意が必要です。手料理の栄養量を手軽に調べたい時は、書店で販売している一般の方向けの本や、食事管理アプリを活用するのが良いでしょう。これらに表示されている栄養成分のベースは、食品成分表を用いて算出された値です。食品成分表は書店で購入できますし、文部科学省のホームページで「食品成分データベース」と検索すれば、食品ごとの栄養成分を調べることができます。さまざまな栄養成分を調べることができる食品成分表ですが、少々難しいのが難点です。一般の方向けの本や食事管理アプリの活用がオススメです。
糖尿病によい食品、悪い食品というものはありません。どんな食品でも摂り過ぎなければ体によく、摂り過ぎればどんな食品でも体に悪いということです。バランスの取れた食事を目指しましょう。


 

運動療法

運動によりエネルギーを消費して、肥満の解消・抑制を目指します。また運動を毎日続けることで筋肉の活動量が上昇し、悪化していたインスリンの働きを改善します。さらに、食後1時間頃に運動すると、ブドウ糖や脂肪酸の利用が促されて血糖値が下がるという効果が期待できます。
運動の種類には、有酸素運動とレジスタンス運動の2つがあります。糖尿病のある人には、ダンベルなどを使って筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動より、歩行やジョギング、水泳などの全身運動にあたる有酸素運動のほうが適しています。有酸素運動を継続して行うことで、インスリンの働きがよくなるからです。


歩行運動なら、1日約1万歩、消費エネルギーに換算すると160~240kcalの消費が望ましいとされています。歩行運動の目安は1回につき15~30分間、1日2回行います。毎日行わなくてもかまいません。1週間に3日以上の頻度での歩行運動が望ましいとされています。
歩行運動は、いつでも、どこでも、ひとりでもできますし、体力や年齢にあわせて歩き方やスピードを変えることができます。まとまった運動時間がなかなかとれない人でも、歩行をともなう通勤、通学、買い物などで、実践できます。

その他

禁煙・節酒・ストレス管理・十分な睡眠が重要となります。言葉で言うのは簡単ですが、行動に移したり実践するのはなかなか難しいものです。可能な範囲で心がけながら生活習慣を是正していくことを心がけることが大切です。

(2) 薬物療法

血糖値は膵臓から分泌されるインスリンにより低下します。糖尿病薬には膵臓からのインスリン分泌を促すことにより血糖値を下げるタイプ(インスリン分泌促進系)とインスリン分泌以外の作用で血糖値を下げるタイプ(インスリン分泌非促進系)に分けられます。
インスリン分泌促進薬にはイメグリミン、DPP-4阻害薬、GLP-1受動体作動薬、スルホニル尿素薬、速攻型インスリン分泌促進薬があります。一方、インスリン分泌非促進薬には、αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬があります。


 

① αグルコシダーゼ阻害薬 (α-GI)

腸でのブドウ糖吸収を緩やかにすることで食後の血糖値上昇を抑えます。そのため食事の直前に内服します。腹部の張りや下痢を来たすことがあります。

代表的な薬剤:ボグリボース (ベイスン)、アカルボース (グルコバイ)

② SGLT2阻害薬

腎臓で血糖を再吸収する働きを抑え、尿から余分な糖を排出させることで血糖値を下げます。また、体重減少効果もあるため、肥満のある患者に特に効果的です。

代表的な薬剤:ダパグリフロジン (フォシーガ)、エンパグリフロジン (ジャディアンス)、イプラグリフロジン (スーグラ)など

③ チアゾリジン薬

肝臓や筋肉に作用し、インスリンの効きを良くする薬剤です。副作用としてむくみがあり、心不全既往のある方には使用は控えます。

代表的な薬剤:ピオグリダゾン (アクトス)

④ ビグアナイド薬

主に肝臓から放出されるブドウ糖の量を抑えることで血糖値を下げます。その他に体内でのインスリンの効きを改善する作用があります。注意点として、非常にまれですが乳酸アシドーシスという重篤な副作用が出ることがあります。腎臓・肝臓・心臓の悪い方や大酒家は、このお薬は避けることもあります。またヨード造影剤を検査で使う場合には、原則一時休止する必要があります。

代表的な薬剤:メトホルミン (メトグルコ)

⑤ イメグリミン:ツイミーグ

イルメグリミンは、メトホルミンの重篤な副作用である乳酸アシドーシスを回避することを目的に開発されました。ミトコンドリアへの作用などにより、インスリン分泌や筋肉での糖利用を促したり、肝臓での糖新生を抑えることで血糖値を改善する薬です。

⑥ DPP-4阻害薬

食物が小腸を通過するとインクレチンというホルモンが分泌され、膵臓からのインスリン分泌を促します。しかしインクレチンはDPP-4という酵素ですぐに分解されてしまいます。DPP-4阻害薬はDPP-4の働きを抑えることによりインクレチンが分解されにくくなります。インクレチン濃度が上がることにより、膵臓からのインスリン分泌がより促進され血糖値を下げます。

代表的薬剤:シタグリプチン (ジャヌビア)、リナグリプチン (トラゼンタ)など

⑦ GLP-1受容体阻害薬、GLP-1/GIP受容体作動薬

GLP-1(グルカゴン様ペプチド−1)ホルモンと同様にその受容体へ作用することで血糖に応じて膵臓からのインスリン分泌を促し、分泌されたインスリンによって血糖値を下げる薬です。

代表的な薬剤:セマグルチド (リベルサス、オゼンピック、ウゴービ)、チルゼパチド (マンジャロ、ゼップバウンド)など

⑧ スルホニル尿素薬 (SU薬)

スルホニル尿素薬は、膵臓からインスリンを分泌させる働きを強めます。インスリンの分泌が少ないタイプの糖尿病に効果的です。長期間インスリンが薬の刺激により膵臓から分泌され続けるので、血糖値も下がりますが、下がりすぎる (低血糖)リスクもあります。空腹時に冷や汗をかく、ドキドキするなど具合が悪くなる場合は低血糖の可能性があります。また体重が増えやすくなるので注意が必要です。

代表的な薬剤:グリベンクラミド (グリミクロン)、グリメピリド (アマリール)など

⑨ 速効型インスリン分泌促進薬 (グリニド系)

グリニド薬は、SU薬と似た作用で、食後の血糖値の急上昇を防ぐために膵臓からのインスリン分泌を促進します。作用が速く食後の血糖のみ低下させるため、食直前に服用します。

代表的な薬剤:レパグリニド (シュアポスト)、ミチグリニド (グルファスト)など

⑩ インスリン治療

インスリン治療は、自己注射によってインスリンを補う治療法です。インスリンの分泌量が極端に減る1型糖尿病の場合、自己注射でインスリンを補うインスリン治療が必須です。2型糖尿病の場合、生活習慣の改善や服薬による薬物療法で血糖コントロールができない場合にインスリン治療を導入するケースがほとんどを占めていましたが、現在では早期にインスリン治療を導入することも増えてきています。
インスリン治療を行うことで、オーバーワークになっていた膵臓を休ませることができるため、2型糖尿病の方がインスリン治療を導入することで膵臓が機能を回復し、インスリン注射を止めても正常な血糖コントロールを取り戻せる可能性があります。
インスリン治療に使う製剤は、注射後の効果開始時間、ピーク、持続時間のタイミングが異なる超速効型、速効型、中間型、持続型(持効型溶解)に分けられます。インスリン治療にて膵臓の機能が回復したり、ライフスタイルの変化があった場合には、使用する製剤や組み合わせを見直して最適な処方に変更するなど、適切な血糖コントロールのためにはきめ細かい対応が必要です。

 

まとめ

糖尿病は、早期に気づいて生活習慣を見直すことで、進行や合併症を防ぐことができる病気です。早期発見で合併症を防ぎ、健康寿命を延ばせます。最新ガイドラインを基に医師と連携しながら、食事・運動・薬物療法をバランスよく続けることが、未来の健康を守る第一歩です。

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