メニュー

チルゼパチド (マンジャロ) 2.5mgは効果がある? 〜当院6ヶ月間の実臨床データ〜

[2026.05.05]

医療法人化の手続きに追われ、ブログの更新が滞っていました。

 

気づけばゴールデンウィークも終盤です。どのようにお過ごしですか?ついつい食が進み、体重が増えがちですよね。ダイエットは「1日にしてならず」です。急激に体重を落としてもリバウンドのリスクが高くなってしまいます。体重とは一生付き合っていくものなので、長期的に向き合っていくことが大切です。
 
 

 

相変わらずマンジャロ(チルゼパチド)は世間からの風当たりが厳しい印象ですが、全く同じ成分のゼップバウンド(チルゼパチド)は肥満症治療薬として保険適用されており、内科学会でも非常に注目されています。ただし、その適応のハードルは依然として高いため、当院では自費診療にてマンジャロを処方しています。

 

では、当院ではなぜ肥満症に適応のあるゼップバウンドではなく、マンジャロを処方するのか?それは単純に、マンジャロの方が薬価が安いからです。同じ成分なのに、薬価の高いゼップバウンドをあえて推奨しますか? 私の答えは「No」です。

 

自費でダイエットをするのであれば、コストパフォーマンスを重視するのは当然ですし、いかに低容量で効果を引き出すかはとても重要です。当院では、マンジャロを使用されている方の95%が2.5mgあるいは5mgで継続されており、そのうち約半数の方が2.5mgのままで継続しています。果たして、それでも十分なダイエット効果が得られるのでしょうか?

 

本日は、マンジャロの継続投与による6ヶ月間の効果についてお話しします。どうぞ最後までお付き合いください。

 

 

そもそも、マンジャロ2.5mgの効果に関するデータはありません。添付文書でも、4週間で5mgへ増量し、それが維持用量とされています。つまり2.5mgはあくまで開始容量であり、薬剤に対する忍容性を確認するための容量と位置づけられています。

 

当院での成績 (6ヶ月間でのマンジャロの減量効果)

当院での実臨床データを紹介します。薬剤の効果に関するアウトカム(目標)は、投与開始後6ヶ月間での「BMI 25未満」または「元の体重から15%以上減量」としています。15%としたのは、チルゼパチド5mgでの体重減少が海外の研究 (SURMOUNT-1)にて約15%であったことに基づいています。

 

ベースラインデータは以下の通りです。 2.5mg群が58名、5mg群が60名で解析を行っています。平均年齢は41歳 (41.6±6.4)、女性が約80%を占め、平均体重は約80kg、BMIは約30で、両群とも同程度でした。非糖尿病の方を対象としていますが、その他のリスク因子につきましても両群で同程度です。

表1. ベースラインデータ

 

① 体重変化

6ヶ月での体重変化は

  • 2.5mg群:-12.3kg(-15.5%)
  • 5mg群:-13.0kg(-16.1%) 

と、ほぼ同等の結果でした。(P=0.282)

図1. 体重の変化

 

② BMI変化

BMI (body mass index)の変化は、

  • 2.5mg群:-4.8
  • 5mg群:-4.9 

と、同様に両群で同等でした。(P=0.228)

図2. BMIの変化

 

③ 筋肉量と骨量の変化

筋肉量と骨量の変化も確認しています。 筋肉量の変化は、

  • 2.5mg群:-2.4kg(-5.7%)
  • 5mg群:-3.6kg(-8.5%) 

5mg群でやや減少が目立つ傾向が見られました。(P=0.052)

 

図3. 筋肉量の変化

 

一方、骨量の変化は、

  • 2.5mg群:-0.2kg
  • 5mg群:-0.9kg 

と、差は認められませんでした。(P=0.318)

 

図4. 骨量の変化

 

④ 食事・運動療法の実施割合と目標達成率

下の図は、投与前後での食事・運動療法の実施割合と目標達成率を示しています。 どちらの群も投与開始後、食生活の改善が得られており(96.6% vs 96.3%)、運動実施率も約40%と同程度でした。

 

 

表2. 食事・運動療法と目標達成率の割合

 

6ヶ月後の目標達成率(BMI 25未満または15%以上減量)は、

  • 2.5mg群:62.1%
  • 5mg群:63.3% 

と、こちらもほぼ同等でした。

 

考察

5mgを6ヶ月間継続投与すると概ね15%程度の減量が得られることは大方の予想通りでした。しかし結果を解析しながら、とても驚きました。正直「2.5mgと5mgで同じような結果になるはずがない」と思っていたからです。 当然といえば当然です。なぜなら、2.5mgでは体重減少効果が乏しい方もいらっしゃるからです。

 

では、なぜこのような結果になったのでしょうか? 今回の解析で最大のポイントは、容量の選択に際して、Shared decision making (SDM:共有意思決定)の基に決定している点です。医療者とご本人が治療意思決定に関与する方法で、情報共有(医学情報とご本人の価値観)を通じて治療を選好していきます。最終的にお互いが合意した容量で継続するため、受けられる方の納得感や継続率がアップし、より良い転帰が期待できます。

 

また食事・運動療法の実施率やその他のベースラインデータにも有意差はありませんでした。この結果からも、2.5mgの継続投与に少なくない恩恵・メリットがあることが示唆されます。

 

ここからは私の推察になりますが、診療を通じて強く感じるのは、本人の体質的な要素が非常に大きいということです。体重やBMIだけで薬の効果が決まるわけではなく、実際に投与してみないと効き目は分かりません。半年で20kg、1年で30〜40kg減量される方もいれば、1年経っても数kg程度の方もいらっしゃいます。もちろん本人のダイエットへ取り組む姿勢やモチベーションもとても大切な要素です。どのような経過を辿るのか予想するのはなかなか難しいものです。

 

また食事や運動習慣の改善と言っても、人それぞれ取り組み方は異なるもので一律に語れるものではありません。今後も診察を通じて最大限のベストサポートに努めながら、減量に関する研究を続けていきたいと思います。

 

 

近年、「出口戦略」が話題になっています。GLP-1受容体作動薬を中止した後のリバウンドをいかに抑えるか。その点で、薬剤のテーパリングや少量継続投与は非常に重要な試みだと考えています。

 

私はダイエットを「2段階」で取り組むことが大切だと考えています。

  1. GLP-1受容体作動薬のサポートを受けながら、食事・運動療法でしっかり減量する
  2. 目標に到達した頃には、食習慣の是正と持続可能な運動習慣を身につけ、徐々に薬を減らしながら体重維持を目指す

 

 

 

ある程度の体重の増減は許容範囲です。大切なのは、少し長い目線で体重と向き合うこと。「食べる時があってもいい」んです。オンとオフを意識しながら、心地よく維持していきましょう。

 

当院では、一人ひとりに合わせた減量プランを提案しながら実践しています。2026年4月より導入したInBodyでは、体重やBMIだけでなく、筋肉量や体脂肪量を細かく評価できるため、ダイエットをより持続可能なものに導くことができます。

 

ダイエットでお悩みの方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME