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第127回 日本循環器学会 中国地方会に参加しました!

[2025.12.18]

12月13日、第127回日本循環器学会中国地方会に参加しました。

 

東広島医療センターの城先生と一緒に、不整脈セッションの座長を務めさせていただきました。カテーテルアブレーション(心臓の不整脈を治療する手技)の戦略を深く掘り下げた症例から、慢性飲酒や遺伝子変異が関わる致死的な不整脈まで、発表は多岐にわたり、活発なディスカッションが繰り広げられ、とても有意義な時間となりました。

 

心不全の最新知見を学ぶため、岡山大学の湯浅教授の講演を聞きました。SGLT2阻害薬の幅広い効果については既知の通りですが、早くもGLP-1受容体作動薬の有用性についても触れられていました。肥満と心不全の関連は非常に奥深いテーマです。今年4月にEuropean Heart Journalに掲載された肥満と心不全発症に関するデータ (PREVEND study) のインパクトが大きかったので、深掘りしながらお示しします。少し分かりにくい内容ですがお許し下さい。

 

学会長は塩出先生です!

 

PREVEND研究の概要(2025年European Heart Journal)

 

PREVEND研究は、1997年にオランダで開始された大規模コホート研究で、腎臓病・心血管疾患の予防を目的に一般住民を長期追跡しています。

 

この論文は、25年間の追跡データ(平均23.4年)を使って、心不全(HF)の新規発症における性差修正可能なリスク要因を分析しました。

 

対象者: 心不全既往のない8,558人(男性4,268人:平均50歳、女性4,290人:平均47歳)。

 

心不全を2種類に分類:

- HFrEF(駆出率低下型:EF <50%) → 心ポンプ機能が悪いタイプ

- HFpEF(駆出率温存型:EF ≥50%) → 心ポンプ機能が保たれているタイプ

 

主な結果:生涯リスク

- 全体の心不全発症リスク:男性24.5%、女性23.3%(ほぼ同等)

- HFrEF:男性18.1%、女性11.9% → 男性で高い

- HFpEF:男性6.4%、女性11.5% → 女性で高い

- 発症平均年齢:男性72.1歳、女性74.2歳

 

 

HFrEFとHFpEFの男女毎の発症率

 

修正可能な8つのリスク要因の寄与(人口帰属分数:PAF)

これら要因を管理することで予防可能な割合が大幅に高まります (特に女性で効果大)。

 

| 心不全タイプ | 女性の予防可能割合 | 男性の予防可能割合 | 主な要因 |

| HFrEF   | 71%   | 60%   | 高血圧、高コレステロール |

| HFpEF   | 64%   | 46%    | 高血圧、肥満 |

 

 

8つのリスク要因

 

性差の特徴:

- 男性:HFrEFが多く、喫煙や心筋梗塞の影響大。

- 女性:HFpEFが多く、肥満や糖尿病の影響が相対的に強い

 

結論と予防のポイント

性差を考慮した予防が重要です。リスク要因の管理で心不全の発症を大幅に減らせます。

- HFrEF予防:高血圧・脂質異常のコントロール優先。

- HFpEF予防:高血圧に加え、体重管理(肥満対策)が特に有効。

 

特に肥満は、HFpEFで高血圧に次ぐ大きなリスク因子(男女共通)です。生活習慣の改善が鍵となります。

 

心不全は増悪と改善を繰り返しながら徐々に寿命を縮める病気です

 

ダイエットの短期的なメリットは、外見の変化や検査値の改善です。一方、長期的なメリットは、死亡率の低下や心筋梗塞、脳卒中、そして今回のデータのような心不全の発症抑制にあります。

 

いわゆる「ヘルシー」な食生活や定期的な運動を続け、規則正しい生活習慣を身につけていくことは、心の安定にもつながります。

 

 

 

アメリカ心臓協会(AHA)は2022年に「Life’s Essential 8」(LE8)を提唱しました。これは、食習慣・身体活動・喫煙・BMI・血清脂質・血糖・血圧・睡眠の8項目を遵守することで、脳卒中や心筋梗塞などの予防に極めて効果的であると示したものです。さらに、認知症や体力低下の予防にも役立ち、健康寿命を延ばすためには、若いうちから(若年~中年期)取り組むことが重要です。

 

不健康な食生活は欧米から広まったものが多いのに、その欧米から健康的な生活習慣の重要性を提唱されるのは、何とも皮肉な話ですが、これらの要素は本当に大切です。いずれ機会があれば、LE8や食事習慣について詳しくお話ししたいと思います。

 

私自身、20代から30代前半までは食事や運動をあまり気にせず過ごしていましたが、ここ数年は意識が変わり、真剣に取り組むようになりました。毎日の積み重ねが、内面も外面も形作っていくものです。先ほどの論文のように、何十年後かに後悔しないよう、今からコツコツと続けていきたいものです。

 

 

話は戻りますが、学会の最大の楽しみは、多くの人と会えることです。成長著しい後輩たちの活躍を見ているだけで、モチベーションがぐっと上がります。中野教授にもお会いしたので、ダイエット外来や今後のペースメーカー外来の展望についてお伝えしました。教授も、GLP-1受容体作動薬の効果を臨床で実感されているようでした。

 

今年も残りわずかです。悔いのないよう、最後まで全力で駆け抜けたいと思います!

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