メニュー

第89回 日本循環器学会学術集会で発表しました

[2025.04.02]

4月を迎え新たな新年度を迎えました。父のクリニックを手伝うようになり早くも1年が経ちます。光陰矢の如しです。先週末、横浜で開催された第89回日本循環器学会学術集会に参加してきました。もう春だというのに強い雨風も相俟って真冬のような寒さでした。今回、高齢の急性心不全患者におけるSGLT2阻害薬とトルバプタン(サムスカ)の併用療法の長期有効性について発表しました。

 

弟 (同じく循環器内科医)も参加しており記念に1枚

 

心不全に対するSGLT2阻害薬の有効性は広く知られています。一方、トルバプタン(サムスカ)は日本発の薬剤で、心不全への適応は本邦に限られます。2007年海外での大規模臨床研究にて良い結果が得られず、海外進出の道は閉ざされてしまいました。その結果を受けてか、日本からもポジティブなデータはあまり出されず、ガイドライン上も扱いは低いのが現状です。しかしながら、それでも未だに根強く用いられています。

 

久々のポスター発表 (ポスターは準備するのに一苦労…)

 

何故でしょう?それは我々医師が有効性を実感しており、とりわけ安全性が高いため高齢患者さんにおいても安心して使用できるためです。今回の解析結果から、左室収縮能 (LVEF; 心臓のポンプ機能)が低下した患者さんにおいて、SGLT2阻害薬とトルバプタンを併用することで、心血管死と心不全増悪による再入院リスクを有意に低下させる可能性があることが示唆されました。異なるメカニズムを介して体内に貯留した余分な水分を腎より排泄するこれらの薬剤は共に腎保護作用を有しており、その作用がこれらの結果に繋がった可能性が考えられます。

 

西樂先生は長年論文やアブレーションの指導を頂いた師匠です

 

もちろんエビデンスという視点も重要ですが、実臨床の場では医師の経験も重要です。5年前からトルバプタンに関するデータを取り続け、何度かトライしてきましたが海外での評価は芳しくなく、論文のアクセプトは難しい状況です。本当に悔しいですが、いつの日か形にしたいです。発表ではいくつか質問頂き、有意義な時間を過ごせました。

 

20年ぶりに訪れた東京タワー (くるりの『東京』を聴いて昔を思い出しました)

 

多くの先生方と情報交換をしてモチベーションがぐっと上がりました。開業医という立場ですが、4月からも引き続きアブレーションのお手伝いと在宅医療の勉強を続けていく予定です。地域医療に貢献できるよう日々努力を重ねていきたいと思います。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME