血圧脈波検査 (血管年齢検査)を導入しました
血圧脈波検査 (血管年齢検査)
当院では、今月から血圧脈波検査装置を導入しております。血管の狭窄や血管の硬さ、いわゆる血管年齢 (動脈硬化)を計測することが可能です。四肢に血圧計と同じカフを巻き、10分程度で計測できる非常に簡便な検査です。費用は3割負担の方で300円です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病で通院中の方は、半年〜年1回程度の検査をお勧めします。
血圧脈波検査装置 HBP-8000
「ヒトは血管とともに老いる」
アメリカの著名な医学者、ウィリアム・オスラー先生の言葉です。動脈硬化は老化の最たる症状です。生活習慣病と動脈硬化は直結しています。血管をいかに若々しく保ち、動脈硬化性疾患の代表である虚血性心疾患や脳血管障害の発病の予防に結びつけることができるかが「健やかに老いる」ための必須条件の1つといえます。
動脈硬化とは
動脈とは、心臓から送り出される血液を体の隅々まで送る血管の事です。動脈は酸素や栄養素を運ぶ重要な役割を持っており、通常は体の中の各臓器に必要な血液を送るのに、十分な太さや柔らかさがあります。加齢や様々な危険因子によって、この動脈の壁が厚く、硬くなって弾力性(しなやかさ)が失われるのが動脈硬化です。
動脈硬化は、喫煙・コレステロール・高血圧・肥満・運動不足などの危険因子が重なることによって発症しやすくなります。
血液中の悪玉コレステロール (LDLコレステロール)や中性脂肪が、上の図のように血管の壁に付着し蓄積します。これをプラークといいます。
プラークが蓄積し、心臓を栄養する血管(冠動脈)に高度狭窄をきたすと狭心症を来します。
またプラークは内膜に覆われていますが、ひとたびその内膜が破けると、プラークが血管内に漏れ出て血栓(血の塊)を形成します。その結果、心筋梗塞、脳卒中などの命に係わる合併症が引き起こされてしまいます。その他にも、閉塞性下肢動脈硬化症、腎動脈狭窄症、頸動脈狭窄症など全身の血管異常を来します。
動脈硬化は、心臓や脳血管のみならず全身の血管で起こりうります。動脈硬化の評価として、頸動脈エコーは非常に有用な検査ですが、より簡便にできる検査として以下の3つがあります。これらの検査は、血圧脈波検査装置で測定することができます。
① ABI (Ankle Brachial Index)
② CAVI (Cardio Ankle Vascular Index)
③ 血管年齢
動脈硬化netより
① ABI
上腕の血圧と足の血圧の比率を計算することにより、足の動脈の詰まりを評価します。横になった状態で「腕の血圧」と「足首の血圧」の比をみて足の動脈の詰まりを診断します。通常足の動脈につまりのある場合は足の血圧が下がり、ABIが低下します。ただし、糖尿病や腎臓透析療法をされている方は、下肢の血管の硬化が進んでいるため、異常高値を示すことがあります。このようなケースでは、足の動脈の虚血の指標として用いることはできません。
② CAVI
CAVI(キャビィ)は大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈(Vascular)の硬さを反映する指標(Index)で、動脈硬化が進行するほど高い値となります。大動脈の進展性の低下は心疾患の発症や予後を規定する因子となることが知られており、早期診断と管理に役立ちます。
さらにCAVIは頚動脈エコー等で測定されるスティフネスパラメータβ法に基づき算出され、血圧に依存されない血管固有の硬さを表します。
CAVI基準値
③ 血管年齢
動脈硬化の危険因子を持たない人たちのCAVIの平均値と対比することで、血管年齢を評価する事ができます。
同年齢の健常者よりCAVIが高い場合は、それだけ動脈硬化が進んでいると考えられます。動脈硬化を促進する糖尿病や高血圧などを合併しないよう、生活習慣病を是正することが望まれます。
血圧脈波検査 (血管年齢検査)について
当院では、動脈硬化の進行度合い(血管年齢)をチェックできる、血圧脈波検査を導入しております。ご自身の血管年齢を知る事は、脳梗塞、心筋梗塞などの動脈硬化の進行によって引き起こされる病気の予防に非常に重要です。
このような方におすすめです。
・高血圧、高脂血症、糖尿病や高尿酸血症をお持ちの方
・喫煙者
・肥満 (メタボ)の方
・お酒を飲む機会が多い方
・運動不足の方
・日常的にストレスを感じることが多い方
血圧脈波検査結果に基づき、生活習慣病の管理強化や原因精査を行います。心筋梗塞や脳梗塞は、ひとたび起こしてしまうと取り返しがつきません。生活習慣病、特に高血圧、高脂血症、糖尿病の管理はとても重要です。気になられる方は、当院へご相談ください。