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高血圧症は放っておいても良い? 10年後の自分の血管リスクを知ろう!

[2025.01.26]

高血圧という言葉をさまざまな場面で耳にすることがあるかと思います。何しろ日本全体で約4,300万人いると推定されており、これは日本人のおよそ3人に1人は高血圧ということになります。それゆえにテレビや週刊誌などでも定期的に取り上げられます。降圧剤についてネガティブな記事を目にすることもあるかと思います。SNSでも「日本の高血圧基準は厳しすぎる」、「海外の服薬開始基準はもっと緩い」、あるいは「日本の医者は金儲けのためにすぐ薬を出したがる」など様々です。私自身、個人的には週刊誌の内容はあながち間違っていないかなと思う節もあります。しかしながら血圧をしっかりコントロールする理由があるのも事実です。

 

高血圧症の主たる原因は動脈硬化にあります。血圧は、血管の硬さと血管内を流れる血液量によって規定されます。血管が硬くなれば、血圧は上がりますし (これを動脈硬化と呼びます)、血液量が増加すれば、同じく血圧は上昇します (塩と水を多く摂取すると血液量が増加)。詳細につきましては動脈硬化の項をご参照ください。

 

歳を重ねれば少なからず動脈硬化は進みますので、誰しも血圧は上がるものです。現在、日本のガイドラインでの降圧目標は以下の通りです。

 

 

診察室では血圧がやや高まる傾向にありますので、目標血圧は5mmHgほど高めに設定されています。75歳未満の患者さんの家庭血圧は125/75mmHg未満です。この値を妥当と考えるか、厳しいと考えるか、人それぞれだと思います。

 

現在の「高血圧治療ガイドライン2019 (JSH2019)」は、欧米のガイドラインや国内外の様々な研究データを参考にして総合的な判断のもと設定されています。私自身は若いうちはできる限り目標血圧内で管理していくのが望ましいと考えています。なぜならば安静時の血圧は、その人の最低値血圧だからです。血圧は常に変動するもので、動作時は安静時と比較して大きく上昇します。つまり安静時の血圧が高値であれば、動作時はさらに顕著に高まることが想定されます。

 

 

図のように運動負荷をかけていくと血圧は著明に上昇します。このような血圧変化は日々続いていきますので、心臓や脳血管のみならず全身の血管への負担となり、動脈硬化を進めてしまうことは容易に想像できます。やはり安静時の血圧は、ガイドライン並みにコントロールしたいものです。とは言え、高齢者になりますと、厳格な降圧管理は時として転倒や失神の原因となりますので、ガイドラインよりは緩やかな管理で良いのではないかと考えております。

 

国立がん研究センターのホームページ内では、循環器疾患リスクチェックが掲載されています。10万人以上のデータを収集し20年間にわたり追跡調査を行い、喫煙や飲酒・運動などの生活習慣、肥満度などと、がんや生活習慣病の発症率との関係についてリスク診断を行うことができます。

 

 

循環器疾患に関しましては、今後10年間での心筋梗塞、脳卒中 (脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称)の発症リスクの予測診断ができます。

 

試しに私のデータ入力を行ってみました。

 

 

 

血圧は基準値内、悪玉コレステロールが正常値内でやや高めなので、脳卒中リスクは0.6%、脳梗塞が0.2%でした。同年代の中では危険度が低いグループのようです。

 

 

心筋梗塞リスクはなんと0%でした!(笑) さすがに0%は言い過ぎな気もしますが、循環器内科医としてはほっとしました。とは言え、リスク因子がないにも関わらず、心筋梗塞にて救急搬送される30〜40歳代の若年者に出くわすのも事実です。(コロナ以前のどの時代でもあっても) 注意してもしきれないところがあるのは悩ましいところですが、やはり食事や運動習慣を心がけることに勝ものはありません。

 

 

最後に血管年齢が出ますが、同年代よりやや高めに出ました。当クリニックにある血圧脈波検査機で正確に評価したところ、年齢相応であったので良しとします。

 

あくまでも過去のデータを基に一般的なリスク度を算出しているので、一概に正確とは言えませんが、健康に対し意識を持つ良いきっかけになると思います。高血圧に関しまして、高血圧症の項をご参照いただけましたら幸いです。健康は将来への自己投資です。食事や運動を意識しながら、充実した日々を過ごしましょう!

 

生活習慣病に関しまして気になる事がございましたら、当院までお気軽にご相談ください。

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