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2026年1月の1枚 (Klaatu)

[2026.02.01]

Klaatu

3:47 EST (1976)

 

本日は、ビートルズの流れからマイナーながらもロック好きにはたまらないこの1枚について語らせて頂きます。是非お付き合いください。

 

『3:47 EST』は、カナダのプログレッシブ・ロックバンド Klaatu(ジョン・ウォロシュク、ディー・ロング、テリー・ドレイパーの3人組)のデビューアルバムで、1976年にリリースされました。ビートルズを彷彿とさせるサイケデリックなポップ・サウンドが最大の特徴で、その類似性から解散したビートルズの覆面バンドと噂されました。アルバムタイトルは1951年のSF映画『地球の静止する日』に由来し、異星人クラトゥがワシントンD.C.に到着する時刻「3:47 p.m. EST」を指しています。セカンドアルバム以降も存在しますが、このファーストアルバムが私の愛聴盤です。

 

プログレ感に溢れたジャケットが秀逸です

 

『3:47 EST』の最大の魅力は、ミステリアスで創造性に満ちたサウンドにあります。全体的にサイケデリック期のビートルズ(特に『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』や『Magical Mystery Tour』)の影響が色濃く、メロディーの豊かさ、多層的なハーモニー、スタジオでの多重録音技法、オーケストラや特殊効果の使い方などが彼らを強く想起させます。それでいて単なる模倣に留まらず、プログレッシブな要素を巧みに取り入れ、独自の宇宙観を築き上げている点が素晴らしいのです。

 

曲ごとにテーマがやや散漫に感じられる場合もありますが、緻密なスタジオワークとアレンジが全体に強固な統一感を与えています。豊かな音像と奇抜なメロディーが聴き手をぐいぐい引き込み、「ビートルズ的なポップ・ロックを基調としつつ、ビーチ・ボーイズ、ピンク・フロイド、ムーディー・ブルースのような独創性に富むバンドの多面的な要素を融合させた」Klaatu独自の世界観を鮮やかに完成させています。

 

ビートルズの創作力が溢れたサイケデリック期の名曲を集めた編集盤 (Magical Mystery Tour)

 

アルバムの幕開けを飾る「Calling Occupants of Interplanetary Craft」は、7分を超える壮大なプログレ曲です。真っ暗な森の中を歩く足音とレコード針の音から静かに始まり、ビートルズ風の美しいアレンジが徐々にビルドアップ。メロトロンが最高に心地よく響き、コーラスがドラマチックに盛り上がります。インストゥルメンタルパートの繰り返しも圧巻で、異星人との交信をテーマにしたSFポップの紛れもない傑作です(カーペンターズのカバーも素晴らしいですが、オリジナルはまた格別の魅力があります)。

 

個性が爆発したメンバーの書くは曲はどれも秀逸!

 

続く「California Jam」は、牧歌的でありながらどこかシュールなカリフォルニア讃歌。70年代前半の西海岸カルチャーをいくつかのキーワードで軽く皮肉りつつ、ポップネスとミュージカル的な要素を織り交ぜ、多段構成で展開していくこの曲は、ビーチ・ボーイズやハーパース・ビザールのようなサーフ・ロックやソフト・ロック的な透明感に溢れています。それにしても終盤で「California〜♪」と叫ぶ男性の声が、ポールを感じずにはいられません(笑)。

 

Harpers Bizzareの大名盤もおすすめです

 

秘密裏に進められたニューヨーク地下鉄建設をテーマにした「Sub-Rosa Subway」は、プログレとポップを見事に融合させた名曲です。アップテンポで明るいのに、どこかノスタルジックでメランコリックな余韻が残ります。ビートルズやELO (Electric Light Orchestra)の面影が色濃いです。管楽器を思わせるブラス・セクション風のアレンジに思わずニヤリ。終盤の展開はビートルズの名曲「It’s All Too Much」を彷彿とさせ、最高の余韻を残します。この曲は「現実とファンタジーの境界」を象徴する存在であり、後半の壮大な「Little Neutrino」への見事な橋渡し役を果たしているのも見逃せません。

 

同世代のELOの影響も色濃いです

 

B面はA面のポップ色が強い世界から一転、多様性に富みプログレ色が濃くなった内省的でドラマチックな曲が並びます。ストレートでエネルギッシュな「True Life Hero」で幕を開けますが、10ccのような幻想的でサイケデリックなサウンドスケープの「Doctor Marvello」、英国紳士の荒唐無稽な冒険譚をミュージカル風にふざけて歌う「Sir Bodsworth Rugglesby III」を経て、宇宙的SFバラード「Little Neutrino」で締めくくられます。

 

宇宙物理学をモチーフにした私的で美しい歌詞、人工喉頭によるエイリアン・ヴォイスを用いた大胆な実験性、そして宇宙規模のスケール感が極まった美しいバラードが大団円を飾ります。Klaatuの世界観が味わいたいと何度も繰り返し聴きたくなる中毒性があります。

 

 

このアルバムはレコードを大音量で鳴らして聴きたくなる一枚です。A面も最高ですが、「Little Neutrino」では想像を超える摩訶不思議な音の世界に、魅了されること必至です!

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