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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群 (SAS) 外来

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ているときに息が止まり、それによって日常生活に様々な障害を引き起こす病気です。
寝ているときにいびきが見られるとともに、息が数秒から数十秒止まり、再び息を始めます。
また、夜間に何度も目が覚めたり、トイレに行きたくなることがあります。
起きた時の頭痛や倦怠感、日中に強い眠気などを自覚する等が代表的な症状で、眠っているときに息が止まっていても自覚症状が乏しい場合もあります。
これらの症状から、運転中や作業中に注意散漫になったり居眠りをしたりすることによる交通事故や労働災害につながるケースもあります。

このような自覚症状の他に、一見睡眠とは無関係に思われる、高血圧、心不全、心血管障害、夜間心臓突然死、脳卒中、糖尿病、認知障害といった疾患の原因となります。
特に高血圧は健常人の2.1倍、脳卒中は健常人の3.5倍、心不全に至っては健常人の4.3倍リスクが高いと言われています。

睡眠時無呼吸症候群は"単なるいびき"と軽く考えられがちですが、放置すると大きな事故や病気に繋がる厄介な病気です。
できるだけ早期に、原因となる肥満の改善や治療を行うことが重要です。

当院では睡眠時無呼吸の検査および治療を行っております。

睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックやさらに詳しく知りたい方は、フィリップス社の「無呼吸ラボ」をご覧ください。

AHIについて

呼吸が止まったり、浅くなったりする回数が、1時間に5回以上認められた場合、睡眠時無呼吸症候群 (SAS)と診断されます。
この際に使用する指標が、AHI (Apnea-Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)です。AHIは、睡眠1時間あたりの無呼吸および低呼吸の合計回数を指します。
AHIが5~15を軽症、15~30を中等症、30以上を重症とします。

睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の原因

睡眠無呼吸症候群は、睡眠中の無呼吸の原因によって「閉塞性睡眠時無呼吸 (OSAS)」と「中枢性睡眠時無呼吸(CSAS)」に分類されます。

① 閉塞性睡眠時無呼吸 (OSAS)

睡眠中に空気の通り道である上気道が狭くなったり、一時的に閉塞したりすることによって発症します。
主な原因は、肥満による首や喉周りの脂肪です。
首周りの脂肪は仰向けの状態で横になると重力にしたがって気道を圧迫するため、上気道のスペースが狭くなります。

成人の睡眠時無呼吸症候群は肥満によるものがほとんどですが、小児では生まれつきの身体的特徴が原因になることもあります。

② 中枢性睡眠時無呼吸

脳神経の中で、呼吸を司る延髄の"呼吸中枢"の異常によって、正常な呼吸運動ができなくなり発症します。
原因がはっきりしないことも多いですが、心不全や腎不全、脳梗塞や脳出血の後遺症、生まれつき脳に形成異常がある場合に発症しやすいとされています。

睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の検査

睡眠無呼吸症候群 (SAS)の検査には、簡易型SAS検査と精密検査 (ポリソムノグラフィー)があります。SASが疑われた際は、まず簡易検査を行います。
無呼吸や低呼吸を認めた場合は、次に精密検査 (ポリソムノグラフィー)を行います。

簡易検査

簡易型SAS検査では、鼻カニューレを使用せずに末梢の血流量を連続的に測定してAHIを算出できす。
無呼吸のタイプ(中枢性 / 閉塞性)は、専用のセンサを使用して識別することも可能です。

非常に簡便で行いやすい検査ですが、軽症から中等症では正確に診断することが難しいというデメリットがあります。
また重症の方では、実際よりも重症度が軽く診断されてしまうケースがあります。
その際は精密検査を行う必要があります。

判定基準(簡易検査)

無呼吸低呼吸指数(AHI: Apnea Hypopnea Index)

  • 5未満=正常
  • 5-14=経過観察
  • 15-39=精密検査(PSG)の適応
  • 40以上=CPAP治療の適応

精密検査:ポリソムノグラフィー (PSG)

簡易検査で異常が見つかった場合、精密検査であるポリソムのグラフィー (PSG)を行います。
これまでPSGは、病院に入院 (1泊2日)して行っていましたが、現在は、検査機器を自宅へ郵送し、検査を行うことができます。
PSGでは脳波・呼吸状態・酸素状態・いびきの評価・眼球運動・筋肉運動・横隔膜の動きを総合的に評価することで、極めて細かな睡眠状態まで把握することができます。
当院ではフィリップス社の専門スコアリングセンターと協力することで、精度の高いデータ解析を行っております。

PSGの装着につきましてはこちらを参照ください

判定基準(PSG)

無呼吸低呼吸指数(AHI: Apnea Hypopnea Index)

  • 20未満=正常
  • 20以上=CPAP治療の適応

睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の治療

睡眠時無呼吸症候群 (SAS)は、軽症であれば生活習慣病の是正にて改善できる可能性があります。
肥満の解消、飲酒を控える (節酒)、禁煙、横向きで寝るといった取り組みを行うことが重要と言えます。
しかし、これらは基本的に軽症の方向けです。症状が重い場合は、家庭での改善が難しいです。

家庭で睡眠時無呼吸症候群の改善が難しいと感じた場合は、医療機関で相談ください。

CPAP治療

CPAPは鼻に装着したマスクから一定の圧力で空気を送り込むことにより、気道の閉塞による呼吸停止を防ぎます。
就寝中に持続的に装着する機器に対して抵抗を感じるかもしれませんが、実際に使用すると日中の眠気や倦怠感など生活の質が改善し、様々な疾患を予防することができます。

CPAPの使用は、検査を行い、基準を満たすと健康保険の適用となります。
簡易検査やPSGで異常を指摘された方は、外来にて詳しくご説明いたします。

歯科装具 (マウスピース)による治療

歯科装具は、睡眠中に装着し、舌や下あごを前方に固定することで舌の後方の気道スペースを広げ気道の閉塞を防ぎます。
歯科装具は、歯科での健康保険適用となります。
睡眠障害の専門医と連携をもつ歯科医師に依頼し、作成してもらうことが必要です。

マウスピースは、上下の歯の問に固定し、下あごを前方に引きだす装置です。
いびきだけでお悩みの患者様や軽度から中等度までの睡眠時無呼吸症候群の患者様やCPAP使用の患者様にすすめられます。

手術による治療

子供の睡眠時無呼吸症候群の場合は、アデノイドや扁桃の肥大が原因であることが多く、手術が第一の選択になります。
また、大人の場合でも、気道閉塞の原因がアデノイドや扁桃の肥大であると明らかな場合や、他の治療方法で改善が乏しい場合は、耳鼻咽喉料医による手術が必要となることがあります。

治療後のケア

睡眠時無呼吸症候群は、どの治療方法を選択しても、ご自身だけで治療効果を判断するのは危険です。
主治医と相談して、その有効性について検査を行い、再評価していくことが重要です。
睡眠時無呼吸の重症度は、体重の増減や加齢にしたがって変化します。
もし、再びいびきをかくようになり、日中に眠くなるようでしたら、睡眠時無呼吸が悪くなった可能性があります。
その際には、別の治療法を併用することが必要かもしれません。
定期的に主治医の診察を受けることを忘れないようにしてください。

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