メニュー

当院の臨床データ:マンジャロが効く人と効きづらい人、効果の違いを生む要因とは?

[2025.09.18]

当院のダイエット外来では、GLP-1受容体作動薬「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」を減量目的で使用する患者さんが増えています。マンジャロは、肥満症の保険適応を持つ「ゼップバウンド」と同一成分で、SURMOUNT試験でも示された減量効果だけでなく、多面的な臨床効果が期待される薬剤です。

 

自費診療ではありますが、継続率は84%と高く、多くの方が効果を実感されていると思います。当院では、患者さんひとりひとりに丁寧な説明を行い、看護師が薬剤の投与方法や注意点を詳しくお伝えすることで、安心して治療を受けられる環境を整えています。

 

マンジャロへの誤解と当院の取り組み

世間では、マンジャロに対するネガティブな意見が散見されますが、マスメディアの報道が必ずしも中立でないと感じています。そこで、当院での実臨床データを基に、マンジャロのメリットとデメリットを客観的に解説します。利益相反(COI)はありません。

 

 

 

 

マンジャロの投与基準

当院では、マンジャロの投与に際して明確な基準は設けず、十分に相談した上で治療を開始します。これまでに3ヶ月間投与を受けた80名(平均年齢40.2歳、平均体重77.9kg、BMI平均30、19.7~40.2)のデータを分析しました。

 

投与量は原則2.5mgまたは5mgで、一部の方のみ7.5mg以上に増量します。約半数(5割弱)の方が2.5mgのまま継続しており、増量は希望に応じて行い、積極的に促すことはありません。

 

3ヶ月間の体重変化

マンジャロ投与3ヶ月後の体重変化は以下の通りです。

全体:77.9kg → 70.6kg(-7.3kg、-9.4%

2.5mg群:72.2kg → 64.7kg(-7.5kg、-10.4%)

5mg群:82.2kg → 75.1kg(-7.1kg、-8.6%)

 

 

いずれの群でも顕著な減量効果が確認されました。体脂肪率も男女ともに体重減少に伴い低下傾向にありますが、体脂肪率はもともと男女差があるため今回は詳細を割愛します。

 

筋肉量と骨量への影響

GLP-1受容体作動薬の懸念点として、筋肉量や骨量の減少が挙げられます。3ヶ月間のデータは以下の通りです。

 

筋肉量

 全体:43.3kg → 42.0kg(-1.3kg)

 2.5mg群:40.5kg → 39.4kg(-1.2kg)

 5mg群:45.7kg → 44.2kg(-1.5kg)

 

 

体重減少に対する筋肉量の減少率は17.8%で、ダイエットにおける許容範囲内と考えられます。ただし、筋肉量の減少を最小限に抑えるためには、筋力トレーニングを中心とした運動と高タンパク質の食事が重要です。

 

骨量

 全体:2.7kg → 2.5kg(-0.2kg)

 2.5mg群:2.5kg → 2.4kg(-0.1kg)

 5mg群:2.8kg → 2.6kg(-0.2kg)

 

 

骨量の減少はわずかでしたが、骨密度の評価は今後の課題です。骨量維持のためには、カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取と、骨に負荷をかける運動が推奨されます。

 

 

2.5mgと5mgの違い:効果を左右する要因

2.5mgと5mgで減量効果はほぼ同等でしたが、増量する人としない人の違いは何でしょうか?

 

ベースラインの体重

 2.5mg群:平均72.2kg

 5mg群:平均82.2kg

 

体重が多い方がマンジャロを増量する傾向にありますが、これだけが要因ではありません。

 

高血圧症、脂質異常症、肝機能障害、喫煙・飲酒歴などの基礎疾患や嗜好に両群で差はありませんでした。しかし、食事療法運動習慣には明確な違いが見られました。

 

生活習慣の取り組み

投与前:

  2.5mg群:食事療法39%、運動習慣35%

  5mg群:食事療法24%、運動習慣18%

投与後:

  2.5mg群:食事療法96%、運動習慣50%

  5mg群:食事療法85%、運動習慣27%

 

 

2.5mg群は、投与前から食事・運動への意識が高く、投与後も積極的に取り組む傾向がありました。特に運動習慣の差は顕著で、2.5mg群の方が取り組み率が約2倍でした。

 

考察:生活習慣の重要性

これらの結果から、2.5mgで十分な減量効果を得ている人は、食事療法や運動習慣の改善に積極的に取り組んでいる傾向があると考えられます。一方、5mgに増量した人は、生活習慣の改善が不十分な場合が多い可能性があります。皆さんも納得される結果かと思いますが、データとして如実に現れており、ダイエットを行う上で、いかに食事と運動が重要であることを強く示唆しているように思います。

 

 

最後に4ヶ月で見ますと平均で10kg程度の減量効果が得られていました。(N=50)

海外の臨床データと比較しても低容量の短期間投与でも十分に効果を発揮していることが分かります。

 

 

当院のサポート体制

当院では、対面診療を通じて丁寧な問診を行い、患者さんの生活背景や悩みに寄り添った治療を提供しています。マンジャロをただ投与するだけでなく、リバウンドを防ぎ、長期的なダイエット成功をサポートすることを目指しています。

 

マンジャロやダイエットに関するご質問やお悩みがございましたら、当院までご相談ください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME