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祝Oasis再結成

[2024.08.31]

Oasis
Definitely Maybe (1994)

先日オアシスの再結成が発表になりました。これまで幾度となく期待を裏切られてきたので今回も期待していなかったので、本当に驚きです。

オアシスには特別な思い入れがあります。まさに青春そのものでした。

このファーストアルバムは、8月30日で30周年を迎えました。今回Morrow ValleyとSawmills Studiosでのアウトテイクが聴けるということで、ずっと楽しみに待っていました。

 



ファーストは音が悪いと揶揄されることがありますし、確かにそう感じた時期もありました。しかしそれは音が悪いのではなく、彼らが目指した音なのです。アウトテイクがそれを示しています。強烈なまでのリアリティ。アナログを爆音でならせば、まるでライブ会場にいるようです。

彼らはアランマッギーを魅了し、クリエーションと契約しました。レーベルメイトには言わずもがなMy Bloody Valentine, Ride, Teenage Fanclub, Slowdiveらがいます。ビートルズを敬愛する彼らですが、サウンド面ではよっぽどシューゲイザーやパンクからの影響が大きいです。”Columbia”なんてシューゲイザーそのものです。お経にしか聞こえませんが。笑

 

オアシスはこのファーストアルバムで90年代のUKロックを見事なまでに定義づけました。Blur、SuedeやPulpなどロンドン近郊出身のインテリロックとは全く趣きが異なります。彼らの音楽には生き様がそのまま現れてます。

デビュー前の時点でほぼ完璧に近い形で青写真を描けていたのですから、驚きを隠せません。”Rock ‘n’ Roll Star”のデモ盤は荒削りながらも、すでに完成してます。パンク、シューゲイザー、グラムロックの力を借りながら本気でロックンロールを鳴らしたアルバム。そして轟音のウォールオブサウンド。リアムの声はジョンレノンのような甘さとジョニーロットンのような酸っぱさを兼ね備えてます。兄弟のリアムとノエル、どちらを欠いてもオアシスは成り立ちません。

以下、岸田繁くん (くるり)のコメントです。

「轟音ギター」とか「大仰なサウンド」と揶揄される彼らだが、最初の最初から、彼らの音楽はベートーベンやマーラーの様なシンフォニーであった。「ギターは小さなオーケストラ」とはジミーペイジの言葉だが、ノエルはローコードの開放弦と深いリヴァーブを使って、ペイジよりシンプルかつ、所謂スコティッシュトラッド的な(バートヤンシュやエリックドルフィの影も見える)フォークロックスタイルで、ニールヤングとは全く異なるオリジナリティを確立した。
音楽的、器楽的にはシンプルだが、印象的にはベートーベンのような「歌えるシンフォニー」、つまり「本当の大衆の音楽」を初めて作り上げた偉大なロックバンドだと思う。

これは、すごい表現です。オアシスを聴いてこのような感想を口にする音楽家は、世界中探しても彼だけだと思います。

 

(ちなみにジャケットの撮影場所は、メンバーであったボーンヘッドのフラットです。)

 

2014年、幸運にもメトロポリススタジオを訪れる機会がありました。そこはこのアルバムのリマスタリング作業が行われた場所です。数週間前には、ノエルギャラガーがイアンクーパーと作業を行っていました。その時その場にいたのだと思うと感慨深いです。

そこで働いている同世代のエンジニアにオアシスのファンであることを告げると、奥の倉庫に行き、テープを持ち出してきてくれました。何と”Live Forever”のマスターテープではないですが。この時ばかりは本当に震えました。僕の人生を変えた1曲です。それまで何千回と聴いてきた曲のマスターが目の前にあるのです。言葉になりません。

 

 

あれから10年が経ちますが、夢のようなひと時でした。マスターテープに触れた一般人は、後にも先にも自分だけでしょう。本当に奇跡としか言いようがありません。

それにしてもこのアルバムのライブ感は一体何なのでしょう。恐ろしい程のエクスタシーと幸福感が味わえます。

イギリスが誇る最後のロックスター、それがオアシスです。

再結成と共に発表された2025年のUKツアー。否応にも期待が高まります!

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