運動、カロリー制限と動脈硬化について
梅雨明けも間近ですが、天気が悪いと、ついつい運動するのをためらってしまいます。梅雨明けしたら今度は夏本番、暑さを口実に運動を控えてがちになってしまいます。
言うは易し、行うは難し。大事だと分かっていてもなかなか出来ない。悩ましいところです。
私自身、日頃から生活習慣病を意識して食事には気を配ってますが、果たして食事や運動はどれほどの効果があるのでしょうか。
本日は心臓血管病の予防についてお話しします。
そもそも心臓血管病の予防、狭心症や心筋梗塞、心不全の予防に食事や運動が欠かせないことはご存知だと思います。しかしながら実際にどの程度の運動を普段から心がけ、どの程度まで食事に気を使うと効果があるのか、までははっきりしていないところです。
かんたんに言うと、頑張りすぎないで効果がでる食事や運動はどの程度なのか?です。
2021年にの米国心臓病雑誌 ”Circulation”に一つの答えが出されており、この論文をご紹介します。
運動とカロリー制限と心臓病
アメリカのWake Forest School of Medicine老年学・老年医学分野のTina Brinkley氏らの研究チームは、65〜79歳の肥満者160人を対象に、運動とカロリー制限の組み合わせが動脈硬化にどんな影響を及ぼすかを調べました。
運動の内容は、最大心拍数の65〜70%を維持した状態でトレッドミルを使って、有酸素運動を1日30分、週に4回行うというものです。対象者は、①有酸素運動のみのグループ、②運動に加えて1日あたりのカロリーを250kcal減らすグループ、③運動に加えて1日あたりのカロリーを600kcal減らすグループの3群にランダムに分けられました。
その結果、20週間後には運動のみのグループは体重減少が1.7kgにとどまったのに対し、カロリー制限を加えたグループでは、250kcalオフで8kg、600kcalオフでは9kg減少したことに加え、大動脈の硬化度にも改善が見られました。
平均身長が164cm、体重が93kgなので我々の体格とはややかけ離れた面はありますが、確かな体重減少と動脈硬化(大動脈の伸展性)の改善が得られる結果でした。250kcalオフよりさらに厳格な600kcalオフでは、減量効果がやや大きいですが思ったほどの差はありません。それならば、少しのカロリー制限で効果が期待できる食事療法を選びたいものです。
わずか250kcalのカロリーコントロールと有酸素運動。これなら続けられると思いませんか?
大切なのはモチベーションです。釣りも積もれば山となる。コツコツとやっていくことで、5年後、10年後、その先に大きな違いとなって現れます。
皆さんもこれを機に始められてはいかがでしょうか。