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睡眠時無呼吸は放っておいても良いの?

[2024.09.15]

睡眠時無呼吸症候群 (SAS)は、睡眠中に呼吸が止まってしまう状態を何度も繰り返すことで、日中に眠たくなるなどの日常生活に支障をきたす症状を呈する疾患の総称です。

 

                     

睡眠時無呼吸の多くは気道の閉塞による閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)ですが、一方、心不全患者においては、もう一つのタイプの睡眠時無呼吸である中枢性睡眠時無呼吸(CSA)が高頻度に合併すると報告されています。

 

睡眠時無呼吸はどんな人に多い?

健常な人でも、あおむけの体勢になると舌が気道に落ちこみ、睡眠中は筋肉も緩んで気道が狭くなりがちです。さらに、太っていると首回りに脂肪がつくため、気道がより狭くなり、最終的に閉塞して無呼吸を引き起こしやすくなります。

 



太っている人に睡眠時無呼吸症候群が多いのはそのためで、10%体重が増加した人は、体重が増加しなかった人に比べ、睡眠時無呼吸症候群になるリスクが6倍であったことも報告されています。


ただ、やせていれば安心というわけではありません。日本人は欧米人に比べあごが小さく、奥まった人が多いと言われています。こうした顔つきの場合はもともと気道のスペースが狭く、やせていても無呼吸を引き起こしやすいと考えられています。

 

睡眠時無呼吸症候群は万病のもと

睡眠時無呼吸症候群により睡眠中の無呼吸を繰り返すと、体内に取り込まれるべき酸素の量が減少します。すると、少ない酸素を全身にめぐらすため血管や心臓に負担がかかり、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病をはじめ、心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気を合併しやすくなるのです。

 

 

睡眠時無呼吸症候群と関係の強い心臓病は、高血圧、心不全、不整脈 (主に心房細動)、急性冠症候群 (急性心筋梗塞など)、心不全、大動脈疾患です。薬剤耐性高血圧や心不全患者さんでは、効率に睡眠時無呼吸を合併します。

 

アブレーション治療中にビックリ!

心房細動患者さんは、高頻度に睡眠時無呼吸症候群を合併します。心房細動のカテーテルアブレーション治療は、鎮静薬 (麻酔)を用いて行いますが、入眠中、かなりの確率で無呼吸となります。特に肥満の目立つ方は、無呼吸と激しい呼吸を繰り返しますが、ひとたび呼吸が始まると、あまりの激しさに心臓内に留置しているカテーテルが吹き飛ばされることがあります。電極のついたカテーテルは柔らかいのですが、普段の手技中は安定して留置することができます。無呼吸患者さんでは、胸腔内圧が急激に上昇し、カテーテルが同じ場所に留まっていることのが難しいほどの激しい乱流が引き起こされます。まるで、心臓の中に台風が発生しているかのようです。

 

睡眠時に、このような状態が続いているのですから、さまざまな疾患を引き起こしても何ら驚きはありません。このような無呼吸を伴う患者さんには、睡眠時無呼吸症候群の精査とCPAP療法の導入を勧めています。

 

 

日中眠たい・朝の血圧が高い人は睡眠時無呼吸が隠れているかも?

 

前述のように、無呼吸とその後の激しい呼吸を繰り返すと、夜間に交感神経系が活性化してしまいます。その結果、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった様々な生活習慣病を引き起こし、悪化させます。

 

高血圧患者さんの中で、降圧剤での加療を開始しても、目標内でのコントロールがなかなか難しい患者さんがいます。そのような患者さんでは、睡眠時無呼吸が隠れている可能性が高いです。患者さんと相談の上、精査を進めることも重要です。

 

 

当院では、睡眠時無呼吸症候群の精査とCPAP療法を行なっております。CPAP (持続陽圧呼吸療法)を導入すると、気道閉塞に伴う無呼吸・低呼吸を大幅に減少させることができます。睡眠の質が上がり、日中の傾眠や倦怠感の改善が得られます。

詳細につきましてはこちらをご参照ください。何かご不明な点ございましたら当院までご連絡ください。

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