秋におすすめの1枚 (The Kinks)
The Kinks
The Village Green Preservation Society (1968)
Village Greenの季節到来です。Small Facesの”Ogdens’ Nut Gone Flake”と併せて、紅葉ドライブにもってこいのアルバムです。Keaneの”Hopes & Fears”もあると尚良し!
1968年のUKロックは、”Ogdens’ Nut Gone Flake”、”Odessey and Oracle”、”Beggars Banquet”、”White Album”など多くの名盤が生み出された年でした。まさにロック全盛期と呼べる時代です。
ジャケットの色合いと醸し出すオーラが素敵です
この”Village Green〜”は、時代錯誤甚だしく非常に異質な作品です。テーマは温故知新。牧歌的なメロディにデイヴィス兄弟のハーモニーが完璧に溶け込みノスタルジアの世界へと誘われます。かつて”You Really Got Me”を演奏していた頃の彼らとは想像もつかないほどかけ離れています。
タイトル曲はKinks史上1、2を争う名曲です。現代社会の喧騒から身を引き、木漏れ日溢れる美しき自然に触れながら、古き時代を懐古する。我々現代人が失いつつある感覚です。
50周年記念のスウェーデン盤、12曲入りだと雰囲気が異なります
発売当時はロック変革期の真っ只中、サイケデリックムーブメントの絶頂期でした。「古いものを壊わせ」という反体制的な流れの中で、「古いものを守ろう」と歌ったKinksに違和感を持った人も多かったことは想像に難くありません。反体制に対する反抗ですから、一周回ってロックな姿勢だとも言えます。Kinks (捻くれ者)の名に恥じない姿勢には心底惹かれるものがあります。
当時はチャートインすらせず、全く売れませんでした。それでもミュージシャンやロック愛好家など後世の人々に聞き継がれ、今では歴史的名盤として評価を確立しています。
UKオリジナルモノ盤
イヤホンやカーステレオで聴いても最高ですが、オーディオスピーカーから流れるモノ盤レコードの迫力は凄まじいです。我々を束縛する電子機器から距離を置き、耳を傾けて音に集中したくなるような素晴らしい音楽です。世に出てから50年以上が経ちますが、いまだに我々を魅了してやまない普遍的な作品です。